2026 ED138(ED138)は、NSF–DOE ヴェラ・C・ルービン天文台が2026年3月〜7月の観測データから見つけた、冥王星より遠くを回る「準惑星候補」の天体です。2026年10月27日(米国時間)に発表されましたが、まだ準惑星と認められたわけではなく、大きさも600〜1500キロメートルという推定の幅がある段階です。
この記事では、ルービン天文台のプレスリリースと、国際天文学連合(IAU)の小惑星センター(MPC)が出した公報をもとに、「何がわかっていて、何がまだ決まっていないか」を整理します。内容は2026年10月30日に確認した公式情報にもとづいています。
結論:2026 ED138 の要点(10月30日時点)
| 項目 | 公式に書かれている内容 |
|---|---|
| 名前 | 2026 ED138(仮符号) |
| 位置づけ | 準惑星候補の太陽系外縁天体(TNO)=準惑星としてはまだ未確定 |
| 発表 | 2026年10月27日(米国時間)、MPC が公報 MPEC 2026-U85 で発表 |
| 見つけた人 | マシュー・ホルマン氏(ハーバード・スミソニアン天体物理学センター) |
| 発見に使ったデータ | ルービン天文台の2026年3月4日〜7月11日の観測(20夜・計30回) |
| さかのぼれた記録 | 2016年までの過去画像(ダークエネルギーカメラ)=10年以上の軌道 |
| 太陽からの距離 | 現在およそ46天文単位(冥王星の平均距離は40天文単位) |
| 大きさ | 600〜1500キロメートルと推定(確定には赤外線での観測が必要) |
| 軌道の傾き | 太陽系の面からおよそ25度 |
| 今の準惑星 | IAU が認める5つ:冥王星・ケレス・エリス・ハウメア・マケマケ |
プレスリリースは、確認されれば ED138 は IAU が認める5つの準惑星に加わると書いています。言い換えると、10月30日時点では「準惑星の仲間入りをした」のではなく、「準惑星かもしれない大きな天体が見つかった」という段階です。
2026 ED138とは?ルービン天文台が見つけた天体
ルービン天文台は、米国国立科学財団(NSF)と米国エネルギー省(DOE)科学局が共同で資金を出す天文台で、チリのセロ・パチョンにあります。10年かけて南半球の空をくり返し撮影する観測計画「LSST(時空間レガシーサーベイ)」を、2026年6月に始めています。
2026 ED138 は、この LSST の本格開始に向けた観測期間のデータから見つかりました。プレスリリースの見出しは、ルービン天文台が太陽系で初めて見つけた準惑星候補だと伝えています。「2026 ED138」は正式な名前ではなく、見つかった天体に付けられる仮符号です。
太陽からの距離はおよそ46天文単位です。1天文単位は地球と太陽の平均距離で、冥王星の平均距離は40天文単位とされています。海王星より遠くを回る天体を太陽系外縁天体(TNO)と呼び、ED138 もその一つに分類されています。
いつ、どうやって見つかった?
プレスリリースによると、発見の経緯は次のとおりです。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2016年〜 | チリのセロ・トロロ汎米天文台にあるダークエネルギーカメラ(DECam)の過去画像に、ED138 が写っていた(後から発見) |
| 2026年3月4日〜7月11日 | ルービン天文台のシモニー・サーベイ望遠鏡が、20夜で計30回 ED138 を撮影 |
| 2026年6月 | LSST が始まる |
| 2026年10月13日夜 | ホルマン氏が、移動天体を探すプログラムで ED138 を見つける |
| 2026年10月27日 | MPC が公報で発表。米国ワシントン州スポーカンで開かれた第58回 DPS(Division for Planetary Sciences)年会の記者会見でも発表 |
ホルマン氏は、同じセンターのケビン・ネイピア氏と開発した探索プログラムで、何十億もの移動天体の検出データを照合し、同じ天体に当たるものを探していました。その中で ED138 を見つけ、明るさと距離から、ふつうより大きい天体だとすぐに気づいたとされています。プレスリリースには、本人の次の言葉が載っています。
“My first reaction was one of excited disbelief”
Matthew Holman(NSF–DOE Vera C. Rubin Observatory プレスリリース)。(訳)最初の反応は、興奮まじりの「信じられない」だった。
その後、ルービン天文台の太陽系担当の主任科学者マリオ・ユリッチ氏(ワシントン大学)がデータを探し直し、3月4日までさかのぼる観測を20件追加で見つけました。さらに、アステロイド・インスティテュートの過去画像検索サービスで、2016年までの DECam の画像が見つかり、10年以上にわたる軌道をたどれるようになりました。
なぜ今まで見つからなかった?
ED138 があるのは、天の川(銀河面)に近い、何百万もの星がひしめく領域です。プレスリリースは、多くの望遠鏡では背景の星にまぎれてしまっていたことが、今まで見つからなかった理由と考えられると説明しています。
ルービン天文台は南半球の空全体を定期的に撮り続けており、何百万〜何十億もの光の点から動く小天体を選び出すプログラムを組み合わせることで、混み合った領域の中から ED138 を見つけ出せたとしています。
ルービン天文台と NSF NOIRLab は、発見に使った画像を並べたモザイク画像や、3月4日〜7月11日の動きを1枚に重ねた画像、軌道の3D図なども公開しています。画像はNOIRLab の画像ページ「Mosaic of 2026 ED138 discovery images」などで見られます。
大きさと軌道:わかっていることと推定の幅
大きさは、まだ測られていません。研究チームは、距離・明るさ・推定した表面の反射率(アルベド)から、600〜1500キロメートルの間と推定しています。この大きさの氷の天体なら丸い形をしていると考えられる、というのが準惑星候補とされる理由です。
この予備的な分析では、ED138 は海王星より遠くで見つかった準惑星候補の中でも最大級に入るとされています。ただし、プレスリリースは同時に、正確な大きさを絞り込み、準惑星かどうかを確かめるには赤外線での観測が必要だとしています。
軌道は、太陽系の面からおよそ25度傾いています。このためプレスリリースは ED138 を「ホット・クラシカル」と呼ばれるタイプの TNO に分類し、海王星の重力の影響で元の軌道から乱されたことを示している、と説明しています。
MPC の公報 MPEC 2026-U85 には、暫定の軌道要素も載っています。主な数字は次のとおりです(今後の観測で変わる可能性があります)。
| 項目(MPEC の表記) | 値 |
|---|---|
| 軌道長半径(a) | 約42.95天文単位 |
| 離心率(e) | 約0.14 |
| 軌道傾斜角(Incl.) | 約24.47度 |
| 公転周期(P) | 約281年 |
| 近日点距離(q) | 約36.86天文単位 |
準惑星になるの?IAU の定義と今の段階
IAU は2006年の決議 B5 で、太陽系の天体(衛星を除く)を「惑星」「準惑星(dwarf planet)」「太陽系小天体」の3つに分けました。準惑星の条件は、次の4つです。
- 太陽のまわりを回っている
- 自分の重力でほぼ丸い形(静水圧平衡)になるだけの質量がある
- 軌道の近くからほかの天体を一掃していない
- 衛星ではない
同じ決議の注記には、境界線上の天体を準惑星か別の分類かに振り分ける IAU の手続きを設けると書かれています。ED138 で未確定なのは、主に2つ目の「丸いかどうか」にかかわる大きさです。プレスリリースも、準惑星になるかどうかの違いは天体の大きさと形にある、と説明しています。
ED138 が準惑星と認められる時期や手続きの日程は、10月30日時点のプレスリリースと MPC の公報には書かれていません。プレスリリースは、世界の研究者が今後の追加観測を計画できるようになったとしており、まずは赤外線などの観測で大きさを絞り込むことが次の段階になります。
ホルマン氏は、ルービン天文台が10年間南の空全体をくり返し撮影するので、これまでの観測が見落としてきた場所に隠れた天体にも手が届くようになった、という趣旨のコメントもしています。
よくある質問
新しい準惑星が見つかったのですか?
見つかったのは準惑星の「候補」です。ルービン天文台は2026年10月27日、準惑星候補の天体2026 ED138を発表しましたが、準惑星かどうかを確かめるには赤外線での観測が必要としています。
2026 ED138の大きさはどのくらいですか?
研究チームは、距離・明るさ・推定した表面の反射率から、600〜1500キロメートルの間と推定しています。正確な大きさはまだわかっていません。
2026 ED138はどこにありますか?
冥王星の軌道より外側で、現在は太陽からおよそ46天文単位の距離にあります。海王星より遠くを回る太陽系外縁天体に分類されています。
今、準惑星はいくつありますか?
ルービン天文台のプレスリリースによると、IAUが認めている準惑星は冥王星・ケレス・エリス・ハウメア・マケマケの5つです。2026 ED138が確認されれば、ここに加わることになります。
まとめ
- 2026 ED138 は、ルービン天文台が見つけた冥王星より遠くの準惑星候補で、2026年10月27日に発表された
- 発見データは2026年3月4日〜7月11日の観測で、過去画像から2016年までの軌道もたどれている
- 大きさは600〜1500キロメートルと推定の幅があり、準惑星かどうかの確認には赤外線での観測が必要
- 確認されれば、IAU が認める5つの準惑星(冥王星・ケレス・エリス・ハウメア・マケマケ)に加わる
ED138 の軌道は、ルービン天文台のOrbitviewerで3Dで見ることができます。
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参考
確認日:2026年10月30日
- NSF–DOE Vera C. Rubin Observatory「NSF–DOE Vera C. Rubin Observatory Reveals Its First Dwarf Planet Candidate in Our Solar System」(2026年10月27日)
- IAU Minor Planet Center「MPEC 2026-U85 : 2026 ED138」(2026年10月27日)
- NSF NOIRLab「Mosaic of 2026 ED138 discovery images」
- NSF NOIRLab「2026 ED138 orbit in 3D」
- IAU「List of Resolutions」(2006年 Resolutions B5 and B6「Definition of a Planet in the Solar System」「Pluto」)