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アイツノカノジョのリクトはクズなのか?全話読み返して検証してみた

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「なんでそこで断らないの!?」
「雫ちゃんがかわいそうすぎる…」

SNSや口コミサイトで、連日悲鳴にも似た感想が飛び交う話題作、『アイツノカノジョ』。特に主人公であるリクト(水上 陸)の優柔不断な態度に対して、「クズではないか?」という議論が後を絶ちません。

確かに、パッと見ではモテる男の苦悩に見えるかもしれません。しかし、全話を丁寧に読み返してみると、彼の行動にはある一定の「法則」があり、それが読者をイラ立たせていることが分かってきました。

今回は、「アイツノカノジョのリクトは本当にクズなのか?」という疑問に決着をつけるべく、作中の具体的な行動をデータ化し、徹底的に検証してみました。

目次

【結論】リクトが「クズ」と言われる最大の理由は「保身のための沈黙」にある

結論から申し上げます。リクトがこれほどまでに読者から「クズ」認定されてしまう最大の要因、それは女好きだからでも、性欲が強いからでもありません。

「誰も傷つけたくない」と言いながら、結局は「自分が悪者になりたくない」という保身のために、肝心な場面で沈黙を選ぶからです。

一般的に、恋愛漫画における「クズ」とは、浮気を繰り返したり、暴言を吐いたりするキャラクターを指すことが多いでしょう。しかし、リクトの場合は少し性質が異なります。彼は、彼女である雫に対しても、親友の彼女であるキララに対しても、表面上は「優しい」のです。

ですが、その優しさは「決断の先送り」でしかありません。この「決断しないこと」こそが、結果として周囲の人間、特にヒロインたちを最も深く傷つけているという事実に、彼自身が気づいていない(あるいは気づかないふりをしている)点が、最大の問題点と言えるでしょう。

結論の根拠①:原作で見るリクトのクズ行動・名シーン3選

では、具体的にどのシーンが「クズ」判定の決定打となったのか。原作コミックスおよび連載の中から、読者の血圧を急上昇させた象徴的なシーンを3つピックアップしました。

第1巻 第1話:あのヒロインに対する衝撃の裏切り

物語の始まりであり、リクトの「流されやすさ」が露呈した衝撃のシーンです。

親友であるタクトの彼女、キララから迫られた際、リクトは「ダメだ」と口では拒絶します。しかし、結果として彼はキララの強引なアプローチを物理的に振りほどくことはしませんでした。むしろ、彼女の熱量にほだされ、あろうことか彼女である雫の存在がありながら、キララを受け入れてしまう(ように見える)隙を見せたのです。

もし本当に誠実な人間であれば、どれだけ誘惑されても、その場から立ち去るか、明確に拒絶の行動を取るはずです。ここで「流された」という事実が、その後のドロドロ展開のすべての引き金となりました。

単行本収録話:読者が全員ツッコんだあのセリフ

物語が進む中で、リクトが自分を正当化するために放った(あるいは独白した)言葉があります。
「タクトを裏切れない」という趣旨のセリフです。

一見、友情を大切にする熱い男の言葉に聞こえるかもしれません。しかし、この言葉が出たタイミングは、すでにキララと危ない関係になりかけ、かつ雫を不安にさせている状況下でした。

読者としては、「タクトを裏切れないなら、なぜ最初の段階でキララを突き放さなかったのか?」「それを言うなら、今まさに裏切っている雫のことはどう思っているのか?」と総ツッコミを入れたくなる場面です。友情を盾にして、恋愛の責任から逃げようとする姿勢が、まさに「クズ」の烙印を押される原因となりました。

結論の根拠②:リクトの「クズ行動」完全リスト

リクトの行動がいかに積み重ねられているか、単発のエピソードだけでなく「蓄積」として見るために、独自にデータベース化してみました。これを一覧で見ると、彼の優柔不断さが際立ちます。

行動カテゴリ具体的なクズ行動の内容主な被害者
秘密の共有彼女(雫)に言えないことを、別の女性(キララ)と共有し、二人だけの秘密を作る。
事後報告の欠如キララと接触があったことを隠し、「何もなかった」ような顔で雫とデートをする。
被害者面状況がこじれた際に、「俺はどうすればよかったんだ」と悩み、自分が一番辛いかのような態度をとる。全員

時系列で見る優柔不断の歴史

物語が進むにつれて、リクトの行動はエスカレートしています。初期は「不可抗力」と言い訳できる余地がありましたが、中盤以降は明らかに「自らの意思で、どっちつかずの状況を維持している」ように見受けられます。

例えば、雫との関係を進展させるチャンスがありながら、キララの影がちらつくと急にブレーキをかける。逆に、キララを突き放すべき場面で、彼女の寂しそうな顔を見て手を差し伸べてしまう。この「行ったり来たり」の反復横跳びこそが、読者のストレスを最大化させているのです。

一番被害を受けているのは誰か?

このリストを見て明らかなのは、最大の被害者は間違いなく「雫」であるということです。

キララは自らの意思で動いており、タクトもまだ知らない真実があるかもしれません。しかし、雫だけは、リクトを信じ、待ち続け、それでもなお後回しにされています。リクトが「優しい彼氏」の仮面を被り続けていることが、結果として雫の時間を奪い、心をすり減らしているのです。

データで判明!リクトの「1話あたりのクズ発生率」を計算

ここで、少し視点を変えて数字で検証してみましょう。リクトの優柔不断さがどれくらいの頻度で発生しているのか、独自の計算式に当てはめてみました。

【リクトの優柔不断指数 計算式】

(重要な選択を先延ばしにした回数) × (ヒロインを不安にさせた描写数)
= リクトの「罪深さ」

計算結果から見えるリクトの人間性

作中の描写を数え上げると、ほぼ毎話のように「言いたいことを飲み込む」「誤解を招く行動をとる」シーンが含まれています。これを計算式(概念的ではありますが)に当てはめると、「1話につき必ず1回以上は誰かをモヤモヤさせている」という驚異的な高レートを叩き出しました。

つまり、彼は「たまに間違える人間」ではなく、「呼吸をするように選択を先送りする人間」なのです。これはもはや性格というより、生存戦略に近いのかもしれません。

なぜ彼はこれほどまでに嫌われ、かつ愛される(?)のか

これほど「クズ」要素が揃っているにもかかわらず、『アイツノカノジョ』という作品がつい読みたくなるのはなぜでしょうか?

それは、リクトの弱さが「あまりにも人間臭い」からではないでしょうか。もし彼が冷徹な悪党なら、読者は彼をただ憎むだけで終わります。しかし、彼は悩み、苦しみ、胃を痛めています(自業自得ですが)。

「自分も同じ状況なら、断りきれないかもしれない」
「過去に似たような失敗をしたことがある」

読者の心のどこかにある、そんな「弱さ」を刺激するからこそ、リクトに対して強烈な嫌悪感を抱くと同時に、その結末を見届けずにはいられなくなるのです。

アイツノカノジョのリクトに関するまとめ

今回は、『アイツノカノジョ』のリクトがなぜ「クズ」と呼ばれるのか、その理由を検証しました。

  • リクトのクズ性の本質は「保身のための決断先送り」にある。
  • 雫への裏切りと、タクトへの友情の板挟みを利用して、現状維持を図っている。
  • しかし、その人間臭い弱さこそが、この作品を中毒性の高いものにしている。

物語はまだ続いています。果たしてリクトは、最終的に「本物のクズ」として破滅するのか、それとも過去を清算して誠実な男へと成長するのか。

どんなにイライラしても、私たちはリクトの行く末を最後まで見守るしかなさそうです。それが、作者・肉丸先生の掌の上で踊らされているということなのかもしれませんね。

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